解決志向ブリーフセラピーのアプローチのひとつに、プリテンド・ミラクル・ハプンドというものがあります。これは、もしも自分に奇跡が起きたとしたら、過ごしているであろう一日を、例えば「自分2号」のようなもう一人の自分を設定して、その役をある一日を選んで周囲には内緒でこっそりと演じてみるという提案であり、実験であり、実践になります。
実際に問題が解決していなかったとしても、自分が「こうありたい」自分をあえて役として生きてみるという試みです。
そうしてみて、どんなことが起きたか、次の面接で報告してもらうのです。
もちろん結果は様々です。やろうと思ったけれどできなかった。そういうこともあります。けれども、思い切ってやってみたら、なぜかその日はやれないと思ったことができてしまったり、すべてはできなかったけれど、ちょっと挑戦ができて自信が持てたなど、思ってもみないことが起きたことが報告されることがあります。
ところで、最近注目を集めている社会心理学者がいます。エイミー・カディというハーバード・ビジネス・スクール准教授です。"Presence"(邦訳『<パワーポーズ>が最高の自分を創る』)の著者であるエイミー・カディは、姿勢や動き、話しかたを通じて身体を「広げる」ボディランゲージをとることで、自分のなかに自信とパワーを感じ、不安は軽減し、自分のことに集中しすぎず、全般的にポジティブになれるという知見を紹介しています。
エイミー博士は、「本物になるまでふりをし続ける」ことが大切だと強調します。
たった2分のハイパワーポーズで、自分は自分らしくいられるようになっていくという、
これほど希望に満ちたメッセージはないのではないかと、とても心を動かされるプレゼンテーションでした。
根拠を求めすぎても自信や自分にたどりつかないのかもしれません。時には根拠や理由は
どこかに置いて、姿勢を変えてみるだけで、自分が自分らしいと感じられるという発見ができるのかもしれません。姿勢が変わると、視点も変わります。視点が変わるということは、注意の向かうところが変わるということです。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱える人たちも、ヨーガのポーズによって不安の軽減が生じ、「自分に帰ることができた」という報告もあるほどです。
日本で生まれた臨床動作法でも、動作や姿勢に着目して、その変化による心身の気づきを大切にしていきます。
自信を持つことは難しくても、例えば腕を広げることだったらまずはできるかもしれません。
是非試してみてください。
(TED)エイミー・カディ ボディランゲージが人を作る
https://www.ted.com/talks/amy_cuddy_your_body_language_shapes_who_you_are?language=ja
【私たちのするボディランゲージは、自分に対する他の人の見方に影響しますが、自分自身の見方にも影響します。社会心理学者のエイミー・カディは、自信のないときでも自信に溢れる「力のポーズ」を取ることで、自信の感覚を高め、成功できる見込みも変わるのだと言います。】
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