『赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア』自分を愛する力を取り戻す道はある

敬愛する白川美也子先生の本を拝読いたしました。 トラウマとトラウマ・ケアの的確な情報 トラウマをめぐる格闘と回復の物語 トラウマや加害-被害パターンを超えて 自分らしさを生きていくことを丁寧に描いた ストーリーとメッセージに心を打たれました。
ずっと気になっていたのに 読み通すのに月日が経ってしまいました。
トラウマ臨床に深く関わるようになって どこかでしんどさを感じて来ていたので 自分にもクライアントにも必要な本だと 分かってはいたけれど、これまで読む エネルギーがありませんでした。
でも、ようやくしっかりと向き合える ようになったようです。
人が自然に回復する力
人と人との関わりで傷つきもすれば 人と人との関わりで癒され回復する美しさ
ムーリ博士の連続性の概念と 多重コーピング&レジリエンシーモデル であるBASIC-Ph
トラウマへの各種心理療法の可能性など…
そこには本当にほとんど全てのことが書かれていました。
思えば遡ること7年前、東日本大震災のあった年に開催されたEMDR臨床セミナーに際して、
代表幹事として思いきって 「トラウマ臨床をめぐる治療と治癒」という タイトルで教育講義を依頼したところ ご快諾くださった白川先生が、 話題にされたひとつにBASIC-Phの紹介が ありそこで初めて私はBASIC-Phモデルと いうものを知ったのでした。
冴え渡るホログラフィトークのお話も 印象的でした。(その後、ホログラフィトークの 嶺先生とはBASIC-Phのマスタートレーナー研修でチームをご一緒することになりこれもまた得難いご縁に) 以前より同僚の臨床心理士共々、トラウマケースのご指導をいただき 大きな可能性と希望につながって来ました。
人はトラウマと解離を通り抜けてもなお 自分らしく生きていくことができるということ。
終わりなき道かもしれないけれど、 光に向かっていくことはできる。
白川先生のトラウマ・ケアをめぐる 一連の苦闘とご活躍の軌跡が 言霊の珠玉、結晶となって結実している 本だと感じました。